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日本メディア学会ジャーナリズム研究・教育部会は下記企画趣旨で連続研究会「本土『復帰』50年とメディア〜沖縄の今を学ぶ」第1−4回を実施してきましたが、このほど第5/6回についても計画いたしましたのでお知らせします。
■企画趣旨:(注・第1−4回と同じで、再掲しています)
2022年5月15日、沖縄は本土復帰から50周年を迎える。観光立県を果たした沖縄は米軍施政下にあった復帰前に比べ経済は成長し、教育や交通機関など社会資本は整い、本土との交流も格段に進んだ。だが依然として残る経済格差、変わらない重い基地負担や自己決定権の不在など横たわる溝は浅くなく、ときに「沖縄は本当に復帰したのだろうか?」とのつぶやきが漏れる。沖縄戦、27年間の異民族統治を経て復帰した沖縄が歩んだ50年はいかなるものであったか、その結果いかなる課題が現在に積み残されているのか、それをメディアはいかに報じてきたのか、あるいは報じるべきなのか。そして経営や報道体制においてメディアの現状はどうなっているのか?県民の意識はどのような模様を成しているのか?
重層的なテーマを連続的なオンラインによる研究会で積み上げ、2022年秋季大会のシンポジウム(沖縄開催を計画)での議論に結びつけていく。
■日時・登壇者・司会:下記の通り
■方法:ZOOMを用いたオンライン研究会
■参加費:500円
■申し込み: どなたでもご参加いただけます。参加をご希望の方は、各開催日の前日までに、以下のURLからお申し込みください。後日、いただいた連絡用メールアドレスに、ZOOMのミーティングIDをお送りします。
第5回「自衛隊という存在と向き合う」
■講師・銘苅一哲 沖縄タイムス記者
■対話者・金平茂紀
■司会・七沢潔
■日時・2022年8月7日(日)10:30-12:30
50年前、「復帰」とともに沖縄に進駐した自衛隊は、沖縄戦における日本軍の記憶もあって住民の強い拒否反応に遭遇した。しかし、その後ヘリを使った救命活動や地域社会への貢献が評価され、いまや世論調査で8割を超える県民が支持する存在となった。と同時に米軍との一体化が進んで頻繁に合同演習が行われ、宮古・八重山には中国をにらんだミサイル基地が建設されて先行きは不透明さを増す。
メディアもずっとタブー視してきた自衛隊の存在に去年、1年間の連載で迫った記者が、大きかった反響もふくめ報道を通じて見えてきた世界を語る。
第6回「沖縄社会の隠れた実像を伝えて」
■講師・山城紀子 フリージャーナリスト、元沖縄タイムス記者
■対話者・金平茂紀
■司会・七沢潔
■日時・2022年9月18日(日)14:00-16:00
「復帰」直後に沖縄タイムスに入社した山城紀子は長らく圧倒的多数の男性職場である編集局でマイノリティの「女性記者」として、ずっと婦人欄を担当させられた。沖縄のメディアとして、主力テーマである「米軍基地」や「沖縄戦」に関わるなど望むべくもなく、悶々としていた。だが90年代になると手がけてきた精神障害者や高齢者、外国人など社会の周縁に置かれた人たちを伝える記事が重要視されはじめた。そのケアの担い手の女性たちにも、山城は光を当てていった。
本土からの「まなざし」が好んで焦点化する分野とは違う、沖縄社会の隠れた実像。それを地道に描いてきた山城の仕事を通して、一面的であるがゆえにともすると消費され、忘れられやすい沖縄報道のあり方を考える。
以下は既に告知済み(1−3回は開催済み)の第1−4回内容です。参考までに記します。
第1回 2022年3月27日(日)15:00-17:00
「激動する基地問題と報道の現実」
■登壇者 前泊博盛(沖縄国際大学)
■司会 金平茂紀(TBS)
*米軍・自衛隊が連動して軍事要塞化する南西諸島、追いつかない報道、読者の変化——地元紙の逼迫を議論します。
第2回 4月17日(日)14:00-16:00
「基地と環境破壊と女性たち」
■登壇者 平良いずみ(沖縄テレビ)
■司会 金平茂紀(TBS)
*米軍で使われる有機フッ素化合物PFASによる土壌や飲み水の汚染、新たなサンゴ礁の破壊(辺野古・浦添)など基地による環境破壊を訴える女性たちのネットワーク活動を議論します。
第3回 5月22日(日)16:00-18:00
「復帰とは何であったか」
■登壇者 仲里効(『越境広場』編集者)
■司会 金平茂紀(TBS)
*復帰50年の節目は、「復帰」の内実を問うラストチャンスに位置付けられます。いわゆる「復帰世代」から、沖縄の構造的課題とメディアの在り方を議論します。
第4回 7月3日(日)14:00-16:00
「沖縄戦報道の継続と変質」
■登壇者 西銘むつみ(NHK)
■司会 金平茂紀(TBS)
*登壇者は記者として沖縄戦、慰霊の日の報道に30年携わってきました。その中で考える報道の継続性と変質について、議論します。