第2回 研究会「小川真知子さんに聞く 「コマーシャルの中の男女役割を問い直す会」について」【開催記録】

▪️主 催: 

 第40期「関西フェミニズム運動史とメディア」プロジェクト(公募研究統括分科会)

▪️日 時: 2025年12月14日 13:00 - 15:00

▪️場 所: 大阪公立大学森之宮キャンパス12階 1203教室

▪️開催形式:ハイフレックス(対面+ZOOM)

▪️登壇者: 小川真知子(NPO法人SEAN)

▪️司会者: 丸山友美(静岡大学)

▪️参加人数:30人

▪️開催記録

12月14日に実施した研究会では、「コマーシャルの会」の世話人のお一人であった小川真知子さんをお招きし、お話を伺いました。こちらから予めお願いしていた内容は、①同会の活動の履歴、②同会の活動の実際、③同会が発行したミニコミ誌の読者と世話人との関係、④CM出稿企業とのやりとりについての4つでしたが、実際には、⑴同会の発足と活動、⑵ネットワークの広がり、⑶行政の「公的広報の手引き」とコマーシャル、公的広報の変化、⑷2003年の「手引き」前と後のCMの変化(映像視聴)の4点についてお話しいただきました。③および④については、また別の機会に伺う予定です。

小川さんのご報告によりますと、同会の発足を後押ししたのは、1970年代のウーマンリブの隆盛と国連婦人の十年という国際的な動きはもちろんのこと、日本における家庭用ビデオデッキの発売・流通といったメディア技術の進展、そしてCMにおける「男女役割」の描写に異議申し立てする全国で散発的に起きていた試みなどがありました。こうした動きの中で、「コマーシャルの会」は「継続的に「男女役割」について問い直すこと」を目標に関西で1985年に発足したと言います。

お話の中で繰り返し強調されたのは、小川さんやメンバーの活動は「コマーシャルの会」だけに留まらず、関西や関東で活動する他の団体や会への参加、あるいは研究者との交流を通じて、複層的なネットワークを築いていたということです。また、関西の地理的な条件(私鉄・JR路線網の利便性)や在阪のメディア従事者とのつながりも、会の活動を活性化させた理由としてお話しされていたことが印象的でした。

以上の活動内容をお話しいただいた後、参加者と共にコマーシャルの中の男女役割がどのように変化してきたのか、小川さんの解説を聞きつつCM映像資料の一部を視聴して考えました。「懐かしい」という言葉と共に参加者から出てきたのは、「現代的な視点からCM映像資料を見ると、性をこれほど強調する描写を行っていたことに驚く」といったものでした。また、2003年の内閣府が作成した「男女共同参画の視点からの公的広報の手引き」以降は、男女役割を固定しない新しい表象が次々と生まれたことを確認しました。

研究会の参加者からは、「従来の東京中心のCM研究に欠けていた観点からのお話を聞けとても興味深かった」「当時の様子をイメージすることができ、興味深かった」「テレビ番組の歴史的研究には、ジェンダーについての視点を抜きにして立体的に捉えることができないと思いました」などの感想が寄せられました。質疑応答では、同会の運営や発足に関わる詳細や、この40年間にCMがどのように変化してきたかなど、熱心に議論が行われました。

本プロジェクトでは、引き続き「コマーシャルの会」の世話人を務められた方にお話を伺いながら残された報告書とCM映像資料を読み解く作業に着手します。

▪️記録作成者:丸山友美(静岡大学)