第7回研究会 SNS選挙の課題:2026年衆院選時のサーベイデータの分析【開催記録】

▪️主  催:デジタルメディア研究部会

▪️日  時:2026年7月25日 10:30-11:40

▪️開催形式:オンライン

▪️登 壇 者:小笠原盛浩(東洋大学、ジョージタウン大学)

▪️司 会 者:谷原つかさ(立命館大学)

▪️参加人数: 21名

▪️ 開催記録:

小笠原盛浩先生より、概要以下の講演があった。

【2026衆院選挙期間中における偽・誤情報接触について】
・偽・誤情報に最初に接触した媒体はテレビが最も多い。
・当然テレビは訂正情報として放送したが、視聴者は必ずしも訂正情報とは受け取っておらず、元の偽・誤情報がインプットされている傾向にあった。
・ただし、訂正情報であると認識できた層は、そうでない層より高い割合で偽・誤情報を正しくないと認識できている。
・普段のメディア利用に関して、テレビニュースをよく視聴する層では偽・誤情報を信じる確率は低くなる一方で、ワイドショーをよく視聴する層ではその確率が高くなる傾向にある。
・ただし、「外国人による投機的購入で都内の不動産価格が上昇している」という項目を除くとワイドショーの効果は不安定になる。

【学術的知見をメディアに伝えるにあたっての注意事項】
・「偽情報、8割を『事実』と誤認識=情報源『テレビ』が最多-衆院選で東洋大調査」という見出しで紹介されたところ、「テレビが偽・誤情報をまき散らしている」と受け取られてX上でプチ炎上した。
・日本ファクトチェックセンターからインタビューを受けて火消しを行ったが、メディアとのコミュニケーションには気を付けないといけない。
・X上では、入り組んだ情報が単純化して受け取られる傾向にある。
・世の中に研究結果を伝えるにあたっては、①概念の明示的区別、②図表レベルでの注記徹底、③ファクトチェック機関等との早期連携、が重要。

質疑応答・会場からのコメントは概要以下の通り
Q. 効果的なファクトチェックとしてどのような方法が考えられるか?
A. 人によって普段のメディア利用が異なるので、その人が普段見ているメディアでのファクトチェックが効果的なのではないか。

Q. 情報接触に関して、自己申告はどれくらい信用できるのか。回答者の記憶はあいまいではないか。特に今のメディア環境だと情報源を確認しづらいクロスプラットフォーム的状況なので、「はじめて接触した媒体」は特定しづらいのではないか。
A. 政党・候補者とそれ以外は明示的に分ける等、可能な限り接触媒体を特定できるよう工夫はした。いずれにせよそこは調査の限界であるので、回答者を信じるしかない。

(補足)メディア利用やニュース接触に関して、近年自己申告の限界が指摘されている。情報工学分野では、例えばChromeの拡張機能を用いて視聴したWebサイトを記録してもらい、行動データを取得するという方法も用いられているが、主たるメディア利用媒体であるスマホは技術的・倫理的ハードルが高くデータ取得は困難である。

▪️記録作成者:谷原つかさ(立命館大学)