第10回内川芳美記念メディア学会賞が決定しました

第10回(2025年度)内川芳美記念メディア学会賞に、工藤文著『中国の新聞管理制度:商業紙はいかに共産党の権力を受け入れたのか』(勁草書房、2024年)、金子智樹著『現代日本の新聞と政治:地方紙・全国紙と有権者・政治家』(東京大学出版会、2023年)2冊が選ばれました。工藤さんと金子さんは、2025年度春季大会総会(於立命館大学)にて、水越伸会長と伊藤守選考委員長より表彰されました。

第10回となる今回は、推薦委員会および選考委員会の体制のもとで初めて選出が行われました。2023年1月1日から2024年12月31日までに刊行された、刊行時に50歳以下の正会員による新刊の著作のうち、推薦委員会および会員から推薦があった著作13の候補対象作品の中から、選考委員7名による選考を経て選ばれました。

選考委員長の伊藤守元学会会長は、工藤さんの著作について「長期的な視点で共産党と商業新聞との関係の歴史的変化を、新聞の管理装置である『主管・主辦単位制度』に注目しながら精緻に分析した力作である」と講評しました。また、金子さんの著作については、「新聞を前提とした『歴史的・政治的な文脈によって規定される新聞の普及構造』を『メディア・システム』として定義し、このメディア・システムの歴史的な変化を、とりわけ地方紙に着目しながら、新聞の論調、新聞と政治家との関係、新聞と有権者との関係から解き明かした労作である」と述べ、高く評価しました。

工藤さんは、「入会当初から目標にしていた賞なので大変光栄に存じます。今後研究を続けるうえで励みになります。新しい研究にも積極的に挑戦し、成果を出せるよう引き続き努力してまいります。」と受賞の喜びを語りました。金子さんも「拙著への内川芳美記念メディア学会賞授与につきまして、驚いておりますと同時に大変光栄に存じます。『新聞と政治』は現在進行系の研究課題ですので、今回の受賞をエネルギーとして、さらなる研究に取り組んでいく所存です。」と喜びを述べました。

内川賞は、日本マス・コミュニケーション学会の理事・会長を務められた故内川芳美名誉会員(東京大学名誉教授)の寄贈を原資とする「内川芳美基金」の事業のひとつです。

選考プロセス、および受賞作に対する選考委員会の詳しい講評はこちらからご覧ください。