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■ 第31期第9回研究会(ジャーナリズム研究部会企画)終わる


 テーマ  :全国メディア接触・評価調査にみる新聞と読者の関係

 日   時:2009年1月16日(金)
 場   所:日本新聞協会会議室
 問題提起者:松 岡 郁 子(朝日新聞社)
 司   会:林 恭 一(日本新聞協会)

 参 加 者:9名  記録執筆:林 恭 一

 ジャーナリズム研究部会では、ジャーナリズムと読者・視聴者の関係に焦点をあてることで、現代のジャーナリズムの課題と今後のあり方を探る議論を続けてきた。今回の研究会では、日本新聞協会が2001年から隔年で実施している「全国メディア接触・評価調査」の中から、読者のメディア接触状況やメディア観の現況と経年変化の様子について、調査を担当した朝日新聞社の松岡氏から報告を受け、現在の新聞と読者の関係を探った。

   松岡氏からは、新聞との接触状況について、新聞離れが言われるが、調査の結果を見る限り2007年の閲読頻度(朝刊)は2001年の79.0%から約6ポイントの減少にとどまっている。ただし、朝刊のみの閲読が増加していることや、20歳代以下だけでなく、30、40歳代の閲読が減少していること、年代が上がっても新聞を閲読するようにはならないことなど懸念すべき結果も多い旨が報告された。また、20歳代は、メディアのイメージを問う質問に関して、「社会に対する影響力がある」「情報が整理されている」などの項目で新聞を高く評価しており、新聞の機能や役割について理解は示しているものの、「日常生活に役立つ」「親しみやすい」などについての評価は低く、実際には敬遠していることが読み取れるという。 さらに、新聞や新聞広告に対する満足度や感情を「エンゲージメント」という新しい指標で表し、新聞に対する評価だけでなく新聞広告に対する評価が高い人は、継続購読の意向が高いこと、エンゲージメントの高さに極端な年齢差はないことが報告された。

 これらを受けて、ポリティカル・エンゲージメントと今回調査でのエンゲージメントの異同、新聞に対するイメージの固定化とその背景、イメージと利用行動の乖離、ジャーナリズム性と広告ビジネスモデルの対立などが論じられた。