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第31期14回研究会報告「進化するワンセグ」(マルチメディア研究部会企画)終わる

日 時:4月25日(土) 14:00~16:00
会 場:関西大学千里山キャンパス百周年記念会館第一会議室
報 告:長井展光(MBS 毎日放送)
討論者:富田英典(関西大学)
司 会:黒田 勇(関西大学)
参加者:50 名
記録執筆:黒田 勇

ワンセグ放送をはじめとして、新たな放送技術の社会的な利用開発に放送局サイドで従事してこられた毎日放送の長井展光氏に、放送業界の立場から、ワンセグ放送開始以来の動向を整理概観し、さらに新たなコミュニケーション手段、ビジネスツールとしての可能性について以下のように語っていただいた。

2006年4月のサービス開始以来、ワンセグ機能は新規発売の携帯電話の多くの機種に搭載されるようになり普及が進んでいるが、実際にワンセグ放送の普及となると、いまだ明確な数字は見えてこないなか、通勤、通学の途中での視聴に加え、家庭内の個室での個人視聴に携帯ワンセグが利用されている実態も報告された。

また、制度的には08年4月からワンセグ独自編成が可能になり、各局で、固定向け放送とは異なる番組制作が試みられている。さらに通信との連携サービスも徐々に進み、データ通信の端末としての特徴も徐々に利用者に浸透しつつあるが、放送事業者にとってはこれまでの地上波放送とのすみ分け、広告と番組との関係等から克服すべき課題も多く残っている。

一方、限られたエリア、イベントなどでの新しいメディアとしてエリア限定ワンセグの実証実験も行われ、放送事業者ではない新たなプレイヤーも現れようとしている。またアナログ放送終了後の周波数帯の利用では、ワンセグの進化形とも言える携帯向けマルチメディア放送実現に向けての動きが急になっている。

これに対し、メディア文化論の立場から富田英典会員が討論に加わり、報道番組に対するワンセグの放送の有効性、携帯電話の利用特性とワンセグ視聴の関係、大学内でのキャンパスワンセグ放送の可能性などについて議論された。またフロアからは、とりわけ地域限定のメディアとしてのエリアワンゼクの技術的可能性と社会的有用性のついての意見が活発に出された。