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■ 第30期第7回研究会(理論研究部会企画)終わる


研究テーマ : 「日本における政治・メディア環境の変化とその相互作用」
開催日時  : 2006年4月28日(金) 午後6時30分〜8時30分
場所    : 日本大学法学部本館2階 第一会議室
問題提起者 : 谷藤 悦史(早稲田大学)
討論者   : 中井 孔人(日本テレビ放送網)
司会    : 岩渕 美克(日本大学)
参加者   : 会員 27名 非会員 28名  合計  55名

 94年の政治改革の中心であった選挙制度改革は、政治学のみならず、政治コミュニケーション論にとっても、大きな変革をもたらした。小泉政治の集大成といわれる2005年の総選挙をめぐる政治過程は、その典型的なものと位置づけることができるだろう。このような、政治・メディア環境の相互作用的な変化はどのようにして起こり、またメディアや受け手をどこに向かわせているのだろうか。これらテーマについて、研究会を開催した。

 まず、谷藤会員から、世界的な流れの中での政治コミュニケーションの変容、日本における55年体制以降の政治コミュニケーションの展開過程を概観し、小泉政治についての評価をお話いただいた。例外的に扱われる傾向のある小泉政治も、実は大きな流れの中で生まれたものであり、その意味で連続性を示すものも少なからずあること、政党支持に代表される組織、集団政治の後退の中で「個の政治」が進行していることなど、支持率などの実証データを挙げながら、示唆に富んだ内容であった。

 それを受けて、中井さんからは、非日常を伝える報道の中で、小泉政治は「記者の持つ渇望感」をうまく利用しており、サプライズ政治にメディアが翻弄された実態が紹介された。テレビの役割は主体的ではなく、非常に受身であったことをメディア側の人間として報告された。

 多数ご参加いただいた会場からも多くの論点が提出された。選挙制度とメディアの関係、公職選挙法における選挙運動の短期間化傾向がメディア政治を助長していること、メディア戦略と政治のマーケティング化など、多岐にわたって非常に興味深い議論が展開された。

企画に携わるものの一人として、登壇者ならびに参加いただいた方々に感謝申し上げたい。

                                (岩渕美克)