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■ 第30期第18回研究会(放送研究部会企画)終わる


テーマ:民主制の維持とメディア
    What Democracy Requires of the Media
日   時:2007年4月18日(水) 10:45〜12:15
場   所:同志社大学今出川キャンパス 明徳館21番教室
問題提起者:ジェームズ・カラン(ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ)
討 論 者:山口功二(同志社大学)
司   会:渡辺武達(同志社大学)
参 加 者:250名

 メディアはいかにして最良の方法で民主制を支えることができるか。この問題は過去1世紀以上にわたる議論で、メディアは人びとが知るべき公的情報を提供すべきだという点でおおまかな合意を獲得できたとカラン氏はいう。だが、従来的なメディアの機能論ではウォッチドッグ(権力への監視者、watchdogs)などの権力過程に主要な関心が向けられてきた、だがそれでは社会とメディアの実際の動きについていけず、メディアの実相も十分に反映されていない面があるとし、カラン氏は社会とメディアの総合的な関係性の分析の必要性を説いた。

 またカラン氏は民主制におけるメディアの主要な任務として、適切な社会情報の提供、監督、精査、議論、人びとの代理発言といったことをあげ、そうした役割はいわゆる報道だけではなく、アメリカの有料テレビ「SEX AND THE CITY」などが社会教育の観点から果たしている機能などにも言及し、会場からのパブリック・アクセス論などの問題提起や質疑の呼び水となった。

 討論者の山口氏はカラン氏の学問的業績を紹介し位置づけると同時に、メディアの史的展開について言及しながら、日本の明治期以降のメディアの特徴について分析し、それが現代社会でどのような要請を人びとから受けているかについての持論を展開した。

 本研究会では一般市民、学生の入場を可能にしたため、最初の問題提起、その後の質疑についても日英通訳を用意した。なお、本研究会は従来の部会研究会開催地が東京に偏りがちであることも勘案し、内容的には4月13日の東京研究会と関連させて開催された。
(記録執筆:渡辺武達)