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■ 第30期第17回研究会(放送研究部会企画)終わる


テーマ:「メディア・娯楽・デモクラシー:公共サービス放送のあり方を通して考える」
  Media, entertainment and democracy
   : How they inflect public service broadcasting
日   時:2007年4月13日(金) 18:30〜20:15
場   所:日本新聞協会 大会議室
問題提起者:ジェームズ・カラン(James Curran, ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ教授)
司   会:渡辺武達(同志社大学)
参 加 者:56名

 現代の社会情報環境において放送が民主社会の維持・向上に果たしている役割は大きい。そうした認識の下、放送研究部会では、同志社大学の特別招聘教授として来日したジェームズ・カラン氏を招き、・イギリスにおける放送の公共サービスの成立過程、および・放送界全体における娯楽番組の増加による放送の公共性への影響、さらには・政治・経済権力の意志を含め、そうした動きの背景、等についての報告を聴き、日本のメディア学者との意見交換の場を設けた。

 娯楽番組の増加が現代社会の民主制(democracy)の維持、向上、そして政治への関心度やメディアと社会道徳・倫理の形成にどのような影響をもつかについては、放送法規定の観点から問題視する人たちも日本には多い。議論では日本側参加者からNHKの公共サービス報道と公共性に関連した説明があったり、日英におけるメディアの社会的責任論の議論にも話が及び、活発な研究会となった。

 最初の問題提起、その後の質疑もともに基本的に英語であったが、事前にカラン氏によるドラフトが用意されると同時に、この議題を取り扱ったカラン氏の新訳本『メディアと権力』(論創社)も会場に用意され、通訳の補助も行われたため、研究会の進行は円滑であった。参加者も多く、会員諸氏のご協力に感謝したい。
(記録執筆:渡辺武達)