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■ 第30期第14回研究会(ジャーナリズム研究部会企画)終わる


テーマ:「沖縄密約問題とジャーナリズム」
報告者:西山太吉(元毎日新聞記者)
諸永裕司(朝日新聞記者)
松元剛(琉球新報記者)
討論者:原寿雄 (ジャーナリスト)
司会:上田麻里(岩波書店。ジャーナリズム部会)

元毎日新聞記者・西山太吉氏が、沖縄密約事件にかかわる損害賠償等を国に求めて提訴した沖縄密約訴訟は、06年12月26日に結審、07年3月27日には判決が出る予定。本研究会では、今改めてこの密約問題がジャーナリズムにどのような課題を突きつけているかを検討した。

はじめに西山氏から「当事者の立場から」として報告していただき、続いて諸永氏からは「密約問題を追いかけて」、松元氏からは「沖縄の視点から」として報告した。これらを受け原氏から「沖縄密約訴訟がジャーナリズムに問いかけていること」として論点の整理と討論をしていただいた。過去の事件の総括にとどまらず、この問題が現在のジャーナリズムに何を問いかけ、どのような影響を及ぼしているのか、またジャーナリズムと国家との関係はいかにあるべきかを改めて考えた。

四人の報告者からの刺激的な報告に加えて、研究者やマスコミ関係者、一般市民などフロアからの多彩な問題提起もあり、今後につながる数多くの示唆を与えられた。日本社会にとっての同事件の意味を再検証する場となったほか、ジャーナリズムの現場とアカデミズムが連帯し、本質を見極めていくことの重要性なども指摘された。本テーマが、決して過去の出来事ではなく、現在の日本のジャーナリズムを考えていく上で、原点にも位置づけられる事件であるとの認識がより深められたのではないか。当日は100名以上の参加者を得、盛会のうちに終えることができた。  

(ジャーナリズム部会・上田麻里)