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■ 第29期第8回研究会(ジャーナリズム研究部会企画)終わる


テーマ:「『ジャーナリズムおよびマス・コミュニケーション教育に関する調査報告書』について」

報告者:塚 本 晴二朗(日本大学)
討論者:藤 田 博 司(上智大学)
司会者:鳥 井 守 幸(帝京平成大学)
日 時:2004年2月13日(金) 18:30〜20:30
会 場:日本新聞協会大会議室
参加人数:21名


 ジャーナリズム研究部会では、日本マス・コミュニケーション学会創設50周年事業として行った『ジャーナリズムおよびマス・コミュニケーション教育に関する調査報告書』の発刊を受けて、当該問題に対する会員相互の理解を深める目的で、同報告書に関する議論を行うこととした。

 まず報告者から、同報告書の中のマスコミ企業に対する調査の目的と結果を簡潔にご報告いただいた。そして、これらのまとめとして、マスコミ側が大学教育を評価していない点について、よりいっそう理解を深めなくてはならないこと、その中でインターンシップの利用可能性についてのまとめが報告された。続いて討論者から、現実的に大学とマスコミをつなげる方策について、学部ではいわゆる教養教育に重きを置き、大学院での中堅ジャーナリストの再教育プログラムを考えるべきであるとの提案がなされた。

 この報告者と討論者の問題提起をめぐって、会場を含めた議論が展開された。まず、ジャーナリスト・ジャーナリズム教育の問題は、大学とマスコミという両者の関係に単純化せずに、社会的システムなど広範な視点から分析が必要であるとの指摘がなされた。アメリカとの比較において、アメリカではジャーナリズム教育の方法などに関して非常に選択肢が広い、そして、日本との違いは職業観にあり、それが教育の違いにつながっているのではないかとの意見が出された。その中で、大学とマスコミの間の人材の交流を図ることが重要であり、そうした過程を通じて、両者の理解を深めるとともに、大学では有意義なジャーナリズム教育、ジャーナリスト教育を行っていく必要がある。

 インターンシップについて、現状では大学・マスコミ双方にやや目的の違いが見られ、同時に両者にある種の遠慮があるようである。大学側としては、現場の雰囲気・臨場感を体で味わうことを望んでいる場合が多いが、どうしてもマスコミ側は「お客さん」扱いする場合が多い。これはまだ緒についたばかりで、時間が解決していくとの楽観的な見方もあるが、より議論と経験を重ねていくことの重要性が確認された。

 報告者・討論者の提案もあり、きわめて具体的な方策についても議論されたことは、たいへん有意義であった。今後も、こうした問題について、継続的に議論を積み重ねていくことが必要であり、一時的な報告書に終わらせてはならない。このことが確認されたように思われた。

(記録執筆:岩渕美克)