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■ 第28期第21回研究会(放送研究部会企画終わる
テーマ:「地上デジタル放送を活用した地域情報提供の可能性」

報告者:山根悟(総務省情報通信政策局地域通信振興課)
討論者:廣川聡美(横須賀市企画調整部)
司会者:飯田昌雄(NHK)
日 時:2003年4月3日(木)18:30〜20:30
場 所:日本新聞協会大会議室
参加人数:18名

記録原稿執筆:飯田昌雄


 放送研究部会では,今期,放送のデジタル化と地域放送サービスのあり方をめぐる諸問題を軸とした研究会を開催してきており,今回の研究会では,今年3月に報告書が取りまとめられた総務省の「地上デジタル放送を活用した地域情報提供に関する研究会」の報告書と,地上公共団体が地上デジタル放送に寄せる期待・課題の紹介をきっかに,デジタル時代における放送サービス及び放送端末と,行政サービスの関わり方について議論を行った。

 まず,山根氏からは,現在地方公共団体が取り組んでいる電子自治体構築の現状について,2003年度中に申請・届出等の手続き95%以上,それ以外の手続きについても2004年度中に94%以上がインターネット経由でできるようになること,そのためにはネットワークの整備とともに認証基盤の整備が重要であることが紹介された。また,地方公共団体の情報発信の中でマスメディアの地位は現状では低いこと,地上デジタル放送を活用した地域情報提供については,(1)デジタルディバイドの是正効果,(2)コストの小ささ,(3)インターネットとの連携機能,(4)同報性,速報性に対する期待が大きく,これらについて,満足の行くレベルのサービスを実現することが望まれていること,特に高齢者では,家族の助けを得ながら利用できることが期待されていること,その実現に向けては,(1)地上デジタル放送の普及,(2)受信機の利便性・使いやすさの向上,(3)低コストでの情報提供・利用環境の実現,(4)コンテンツの自動更新,情報露出の公平性,自治体間の共通情報の効率的な扱いなどコンテンツ制作・提供上の留意点,(5)ケーブルテレビの活用,(6)インターネット連動システムの構築,などの課題があることが紹介され,総務省としてはこれらの課題を解決と,地上デジタル放送を活用した地域情報提供の実現に引き続き取り組み,2003年度は実証実験を行うこと,その中で認証システムの開発にも取り組んでいくことが紹介された。

 次いで,廣川氏からは,地上デジタル放送を活用した自治体情報サービスとして想定されるメニューとその実現のための課題の紹介があり,特に(1)主画面とデータ放送画面の連携,(2)リモコンや画面上での使いやすいユーザ環境の実現,(3)共同運用センターの構築による効率的な情報提供体制の確立,に対する期待が述べられた。

 これらを受けて,報告者,討論者と出席者との間で,住民基本台帳ネットワークとの関係,CATVやインターネットによる地域情報提供と地上デジタル放送による地域情報提供との関係,地上デジタル放送を活用するメリット,サービスイメージ,コンテンツの制作・提供体制のイメージ,県と県/県と市町村などの関係,などについて活発な意見交換が行われた。