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■ 第28期第20回研究会(マルチメディア研究部会企画)終わる


テーマ:「デジタル時代のコンテンツを考えるシリーズ3 インターネットによるニュース・番組の配信」

報告者:神保哲生(ビデオジャーナリスト)
司会者:鈴木祐司(日本放送協会)
日 時:2003年3月13日(火) 19:00〜21:00
場 所:NHK放送文化研究所 301会議室
参加人数:16名

記録原稿執筆:原由美子(NHK放送文化研究所)


 マルチメディア研究部会では、「デジタル時代のコンテンツを考える」と題して、これまで「インターネットでの映像情報発信者の事例」「ビジネスとしてのブロードバンドコンテンツ配信の可能性と課題」などについて、実践者や研究者による報告をもとに議論する場を設けてきた。今回は、その3回目として、既存メディアに代わる新たなジャーナリズム活動の場として、インターネット上で、ドキュメンタリー、リポートの配信を事業として始めたビデオジャーナリストの神保哲生氏に、その活動の現状を報告してもらった。

 神保氏からは、ブロードバンド環境が進展してきてはいるものの、パソコンでのスムーズな動画配信にはまだまだ障害が多いこと、地上波テレビの高効率のコスト構造と比べ、インターネットでは根本的に異なるビジネスモデルを構築しなければ成立しないこと、課金に関わる問題も大きいことなどの課題とともに、テレビの多チャンネル化がジャーナリズムにとって必ずしも多様性を広げる形に作用してはおらず、インターネットでの発信に意義を見出していること、小規模化することで維持可能なモデルが構築され得る見通しが立ったことなどが報告された。

 報告を受けて、韓国の「Ohmy news」など大きな反響を呼んでいるサイトにみる可能性、スポンサーや団体との連携の是非と独立性の問題、既存メディア側や受信者からの反応、受信者からとの双方向性や発信の要請(掲示板など)にどう対応するか(要望は高いが維持管理に負担が大きい)などについて、活発な質疑と議論が展開された。