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■ 第28期第12回研究会(マルチメディア研究部会企画)終わる


       テーマ:「デジタル時代のコンテンツを考えるシリーズ2
      ブロードバンドのコンテンツ・ビジネスの抱える課題と展望」

  報告者:松本 恭幸(メディアプロデューサー・多摩美術大学非常勤講師)
  司 会:原 由美子(日本放送協会)
  日 時:2002年4月23日(火)18:30〜20:30
  場 所:NHK放送文化研究所3階301会議室
  参加人数:18名
  記録執筆:原 由美子

 現在,ブロードバンドの普及が急速に進んでいるが,ブロードバンド・サイト の利用時間は極めて短いレベルに留まっている。ブロードバンド・コンテンツが それほど利用されない理由として,@中帯域であることの限界Aキラーコンテン ツの不在などが考えられる。コンテンツ事業者に必要な戦略は,コンテンツのク リエイティビティーとそれを育むブランドを確立すること,とくに「放送」と差 別化した短編作品を生み出すこと,などが挙げられる。

 また,インターネットでは,異なるサイトに同じ内容のコンテンツが存在する ことが多く,そのビジネスモデルは,「放送」とは異なる発想に立たなければな らない。これについては,将来,コンテンツのシンジケーション・ビジネスなど が成立すれば,状況も変わってくるものと考えられ,とくに音楽やゲームの分野 に可能性がある。映像コンテンツについては,バリューチェーンの最上位にブロ ードバンドによる配信を置き,高額の課金を課すというモデルなどが考えられる。 しかし当面,現実的な中帯域ブロードバンドの可能性として考えられるのは,○ ナローバンドでのテキスト画像にインタラクティブ性を加味したソフト ○イン ターネットラジオなど音楽系コンテンツ ○市民や学生グループといった情報発 信者を囲い込むブロードバンドコミュニティーなどである。

 以上のような報告に対し,そもそもブロードバンドならではのソフトとしてど のようなものが考えられるのか,ブロードバンド配信におけるコンテンツ・ホル ルダーのリスクの問題などについて,活発な質疑が行われた。