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■ 第28期第4回研究会(マルチメディア研究部会企画)終わる


  テーマ:「デジタル時代のコンテンツを考える シリーズ1:ブロードバンド時代
     1人称での映像情報発信〜SKJ 真 咲なおこ氏」

  報告者:真咲 なおこ(She Knows Journal)
          司 会:原  由美子(NHK放送文化研究所)
  日 時:2001年12月8日(火)18:30〜20:00
  場 所:NHK放送文化研究所 3階301会議室
  参加人数:16名
  記録執筆:原 由美子

 マルチメディア研究部会では、地上デジタル化やブロードバンド・サービスの展開に向けて、新しい伝送環境下でのコンテンツの実情や可能性について、具体的な実践例の報告・紹介をもとに考える会を、シリーズで開催していくことにした。その第1回として日本航空の客室乗務員から、ビデオジャーナリストへと転身し、テレビ局への番組提供だけでなく、インターネットでの情報発信の企画・制作を手掛けている真咲なおこ氏に、その活動の状況や具体的な内容を報告してもらった。

 真咲氏は現在、TVKの30分の番組枠を買い取って広告主をつけ、「未来検索」という報道ドキュメンタリー番組を自身で制作して放送している。すでに3年目に入り、これまで放送された番組数は30数本にのぼっている。高齢者、医療、障害者福祉などをテーマに、企画・取材・制作の各段階をほとんどひとりでこなしている。このような形での制作・放送は、キー局の中での可能性は少ないが、これからのブロードバンド時代には、企業をバックに可能性が広がるとみているという。

 真咲氏は、すでにインターネットの領域に関しても、現在、日本航空のHPコンテンツの企画制作にかかわっており、さらにNTTと日本航空の共同で実施されるネットTV実験にも参画している。氏は、今後、ブランドバリューを持つ企業による、企業HPからの映像情報配信サービスの可能性がますます広がっていくのではないかと、報告をしめくくった。

 参加者との質疑応答では、ブロードバンドとTVのコンテンツの性格の違いや、ビデオジャーナリストとして個人で制作、運営していくことの特性および性についての質問が出された。個人での制作へのこだわりとプロデューサー的な発想の両立の問題なども議論になった。

 今回の報告は、コンテンツ供給者として、ブランド力を持つ企業が有力なアクターになり得ることを示唆するものであった。マルチメディア研究部会では、これからも、コンテンツの可能性を考える様々な事例をとりあげていきたいと考えている。