研究会一覧に戻る

■ 第28期第3回研究会(放送研究部会企画)終わる


  テーマ:「テレビメディアと危機報道を考える〜米国・同時多発テロ報道を手がかりに」

  報告者:藤 田 博 司(上智大学)
        斉 藤 道 雄(東京放送)
  司 会:上 滝 徹 也(日本大学)
  日 時:2001年12月3日(月)18:30〜20:30
  場 所:日本新聞協会大会議室(プレスセンタービル7階)
  参加人数:32名
  記録執筆:上 滝 徹 也

 さる9月11日の米・同時多発テロ事件は、その後の米軍によるアフガニスタン攻撃とあわせて、テレビジャーナリズムの危機報道についてさまざまな問題を提起した。今研究会では、米国のジャーナリズム事情に詳しい藤田博司会員と、この間テロ報道の現場にあった東京放送の斉藤道雄会員からの報告および問題提起をもとに、今回のテロ事件報道の検証を行った。斉藤会員は9月30日までTBS「ニュース23」のプロデューサーを務め、現在は「報道特集」のディレクターである。

 初めに、藤田会員から「アメリカのジャーナリズムは9月11日を境に変わったのか」のテーマの下、ブッシュ批判の抑制が今も続く等々の翼賛的報道状況、湾岸戦争時と変わらぬ厳しい報道規制、ならびにジャーナリズム精神に欠ける自主規制の数々が指摘された。続いて、斉藤会員からは、衝撃映像の抑制、悲惨な現場映像を伝える努力、多様な意見の確保など、「ニュース23」における対応事例が報告された。同時に、センセーショナリズムを避けようとすると、トークが多くなったり、視聴率が下がったりするといった現実も指摘された。このほか、両氏から、海外レポートが日本人のニーズとしてしか機能していない点や、世論を喚起するツールとしてのインターネットの可能性などが報告されたあと、参加者との質疑応答に移り、テロ事件の歴史的背景から、個々の事例に至るまでの討議が交わされた。